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2.哀れに、と彼を見る
作:かぎ
「所属と階級は?」
「はい…」
尋問官の問いかけに、何の抵抗も無くすらすらと答えるパイロット。
全く敵対する意志も抵抗する意志も見えない。
その様子を、格納庫のモニタルームで見ていた隊長が、あの女に声をかけた。
「これも、リンナさんのおかげです」
しかし、その女は返事もせずに、少し頭を下げただけでエレベーターに向かった。
俺はたまらず立ちあがり、後を追う。
見てしまったのだ。
女はモニタ越し、哀れに、とパイロットを見ていた。
お前、その態度は何なんだ、と。
何様のつもりなのか、と。
「……何…を」
だから、狭いエレベーターの中で、女の肩を押したのだ。
壁に押しつけて、離さない。
「あのパイロットが捕まったのは、お前の仕業だ」
俺の言葉に、はっと目を見開く女。
けれども俺は許さない。
「間違えるな」
そうだ。
敵のパイロットを捕獲したのは、俺達部隊。
勿論俺の責任。と同時に、同じく出撃していた女の責任でもあるのだから。
俺はそれだけ言い終わると、震えている女を一人残してエレベーターを降りた。
一人だけ聖人ぶる、女が嫌いだった。
2005/05/14