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3.終わりの夢
作:かぎ
「キツキ、後ろ…っ」
一段と大きな声で隊長からの通信。
けれど、最後まで聞こえない。しまったと思った時には、俺は光の渦に包まれていた。
敵機に後ろを取られて。
機体を反転させるよりも、敵機の攻撃が早かっただけの事。
ビームが降って来る。
あふれる光に、視界が遮られた。
暗い星の海。
宇宙で戦闘すると言う事は、意外にあっけない終焉を迎えるかもしれないと言う事。
今は、それが俺の番だと言うのか。
明るくて、何も見えない。
意識が遠のく。
ただ、この光は暖かい。
そんな風に感じた。
「……まるで、夢だ」
次に気が付いた時、俺はベットの上だった。
麻酔が効いているのか、腕も足も動かなかった。覗き込む同僚の顔が見えたので、それを伝える。
同僚は、俺がしゃべれることに安堵したのか、ほっと笑顔を浮かべた。
「…リンナさんに、お礼言えよ」
そうか。
奇跡が、起きたのだ。
いや、正確には、あの女が俺の機体を守ったと言う。不思議な力で。
身体の痛みはまだ実感が無いのだが、俺が苦々しい表情で頷いた。
2005/05/14