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4.『理由』を君に
作:かぎ
「オセワニナリマシタ」
「いえ、それが…私の仕事です」
折角俺が頭を下げていると言うのに、女は興味なさげに下を向いただけだった。この暗い態度が、また気に入らない。
消え去りそうな声で、それだけ言うと赤リングはそそくさと立ち去ろうとする。
とにかく俺は、イラついた。
「待てよ、コラ」
まだ腕が包帯で固定されているので、代わりに足を壁にぶつける。女の行く先を、足で塞ぐ格好だ。
「何…ですか?」
女は驚いた様に、俺を見た。そして、すぐに俯く。
それが軍人の反応か?
言いたい事は山ほどあったが、まず伝えなければならない事が有る。大前提として、だ。
「ムカツクんだよ、お前」
それが俺の理由だと言うのに、女は何も言わない。
向かってくるとか、言い返すとか。せめて睨み返すとか。
そんな選択は、彼女に無いのだろうか?
2005/05/14