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5.全てに絶望を
作:かぎ
「セイカさん…今週の薬です」
身体検診の後、いつもの様に薬を手渡される。
これは元ある力を増幅させるための薬だ。あたしの力は元々そんなに大きなものではない。こうして、ドーピングして力を増大させているのだ。
副作用は無いと聞いているが、それはどこまでが本当なのかは分からない。
一つ言えるのは、この薬を飲んでいると、力を使う苦痛がないのだと言う事。
飲み込んだ苦味に、顔をしかめる。
「……苦い」
「ん?」
思わず口に出した言葉に、医師が反応をする。
あたしは、慌てて、何でもないと言う風に微笑んだ。
不満を言っては駄目。
逆らっては駄目。
少しでも『難あり』と評価されてしまえば、あたしは処分される。
反軍の可能性ありと、処分される。
あたしは、そうやって、絶望の中生きていくのだろう。
だから、あの女が許せない。
あたしと同じに能力者のクセに。
だから、あの女の全てに絶望を与えたい。
今は、そんな気持ち。